甘く抱いて、そしてキスして…【完】
しかし……
生徒も帰って行った夜11時過ぎ、思わぬ来訪者が現れた。
塾では、私が社員になる立石先生に少しずつ仕事を引き継いでいる時だった。
トントン、トントン、トントン
ものすごく大きな荒っぽい音。
立石先生が、慌てて入り口を開けた。
そこには、髪はボサボサ、服は黒いT-shirtに、ジーパンの怪しい男が立っていた。
「な、何ですか?」
私はびっくりして聞いた。到底保護者には見えない。
「すみませんね、遅くに、こちらに樋口翔太郎さんいますよね?」
ニヤニヤしながら不気味な表情で、私と立石先生に聞く。
「樋口は、今日はいません」
キッパリ私は答えた。
「やっぱりな」
「え?」
私は目を丸くした。
「【たんぽぽ】の社長と一緒だろ。どこに隠れた?」
ちょっと声が荒々しくなってきた。
「し、知りません。あなた誰ですか?」
だんだん気分が悪くなる私。
「お帰り下さい」
立石先生が、その男を入り口から、追い出そうとしてくれた。
「また来るよ」
その男は、名刺を私に投げつけて、帰って行った。
「なんなの?立石先生居てくれて、良かった…」
私は投げつけられた名刺を拾い上げた。
私は絶句した。
「立石先生……【週間現代】って……なんで雑誌の取材?塾長関係あるの?」
私は立石先生に即座に名刺を渡した。
「塾長、なんか巻き込まれちゃったのか?どうだろ?」
不安げな立石先生。
「ああ、ごめん、続きはまた明日。」
私は大きなため息をついた。塾内に響き渡るとてつもない大きなため息。
「美園先生、僕を頼って下さい。こんな時のために、僕は居るんです。美園先生、助けますから」
「…」
「…」
私は何も答えれなかった。
頭ん中は、翔太郎しかいなかった。
しかし、その夜、翔太郎はやはり帰って来なかった。
生徒も帰って行った夜11時過ぎ、思わぬ来訪者が現れた。
塾では、私が社員になる立石先生に少しずつ仕事を引き継いでいる時だった。
トントン、トントン、トントン
ものすごく大きな荒っぽい音。
立石先生が、慌てて入り口を開けた。
そこには、髪はボサボサ、服は黒いT-shirtに、ジーパンの怪しい男が立っていた。
「な、何ですか?」
私はびっくりして聞いた。到底保護者には見えない。
「すみませんね、遅くに、こちらに樋口翔太郎さんいますよね?」
ニヤニヤしながら不気味な表情で、私と立石先生に聞く。
「樋口は、今日はいません」
キッパリ私は答えた。
「やっぱりな」
「え?」
私は目を丸くした。
「【たんぽぽ】の社長と一緒だろ。どこに隠れた?」
ちょっと声が荒々しくなってきた。
「し、知りません。あなた誰ですか?」
だんだん気分が悪くなる私。
「お帰り下さい」
立石先生が、その男を入り口から、追い出そうとしてくれた。
「また来るよ」
その男は、名刺を私に投げつけて、帰って行った。
「なんなの?立石先生居てくれて、良かった…」
私は投げつけられた名刺を拾い上げた。
私は絶句した。
「立石先生……【週間現代】って……なんで雑誌の取材?塾長関係あるの?」
私は立石先生に即座に名刺を渡した。
「塾長、なんか巻き込まれちゃったのか?どうだろ?」
不安げな立石先生。
「ああ、ごめん、続きはまた明日。」
私は大きなため息をついた。塾内に響き渡るとてつもない大きなため息。
「美園先生、僕を頼って下さい。こんな時のために、僕は居るんです。美園先生、助けますから」
「…」
「…」
私は何も答えれなかった。
頭ん中は、翔太郎しかいなかった。
しかし、その夜、翔太郎はやはり帰って来なかった。