甘く抱いて、そしてキスして…【完】
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
季節はすっかり秋に様変わりしていた。
私が翔太郎に出会って、1年が経過した。
その後、穂乃香さんは起訴され、公判になっていた。
穂乃香さんは、まるで別人になってしまったかのように、痩せこけ、青白い顔をし、すっかりやつれていた。
判決の日、私は、あの日以来、初めて穂乃香さんに会ったのだ。
傍聴席に翔太郎と私は座っていた。
判決は…
『5年以下の懲役、若しくは禁固又は100万円以下の罰金』
だった。
ドンーバタン
穂乃香さんは、判決を聞くと、その場に眠り込むように勢いよく倒れてしまった。
「穂乃香!」
翔太郎が、傍聴席から飛び出していく。
周りの手を払いのけ、叫ぶ。
「穂乃香!しっかりしろ」
私はその場で硬直し、微塵も動けなかった。
「救急車呼んで下さい」
翔太郎がまた大きな声で叫ぶ。
ピーポーピーポーピーポー
やがて到着した救急車に速やかに穂乃香さんは運ばれた。
翔太郎は、私のことはすっかり忘れているようで、救急車に同乗して病院まで、ついて行ったようだった。
私は、もう誰もいない傍聴席に静かに深く座り込んだままで、過去を回想し、目を赤くしていた。
やがて、頬を流れ落ちていく一粒の涙で、私は、現在に引き戻された。
「あ、あああーああー」
私は法廷中に響き渡る大音量の声を出した。
泣き叫ぶ悲鳴と同時に、さっきまで隣にいた翔太郎がいない焦燥感が私をさらに苦しめる。
翔太郎?
わかってるよ、わかってるよ。
でも、私も居たんだよ、あなたの隣に。
理解したい。
見守りたい。
でも、やっぱ寂しいんだ。
不安と孤独でいっぱいなんだ。
一緒にもっといたいんだよ。
穂乃香さんの方が大事なの?
季節はすっかり秋に様変わりしていた。
私が翔太郎に出会って、1年が経過した。
その後、穂乃香さんは起訴され、公判になっていた。
穂乃香さんは、まるで別人になってしまったかのように、痩せこけ、青白い顔をし、すっかりやつれていた。
判決の日、私は、あの日以来、初めて穂乃香さんに会ったのだ。
傍聴席に翔太郎と私は座っていた。
判決は…
『5年以下の懲役、若しくは禁固又は100万円以下の罰金』
だった。
ドンーバタン
穂乃香さんは、判決を聞くと、その場に眠り込むように勢いよく倒れてしまった。
「穂乃香!」
翔太郎が、傍聴席から飛び出していく。
周りの手を払いのけ、叫ぶ。
「穂乃香!しっかりしろ」
私はその場で硬直し、微塵も動けなかった。
「救急車呼んで下さい」
翔太郎がまた大きな声で叫ぶ。
ピーポーピーポーピーポー
やがて到着した救急車に速やかに穂乃香さんは運ばれた。
翔太郎は、私のことはすっかり忘れているようで、救急車に同乗して病院まで、ついて行ったようだった。
私は、もう誰もいない傍聴席に静かに深く座り込んだままで、過去を回想し、目を赤くしていた。
やがて、頬を流れ落ちていく一粒の涙で、私は、現在に引き戻された。
「あ、あああーああー」
私は法廷中に響き渡る大音量の声を出した。
泣き叫ぶ悲鳴と同時に、さっきまで隣にいた翔太郎がいない焦燥感が私をさらに苦しめる。
翔太郎?
わかってるよ、わかってるよ。
でも、私も居たんだよ、あなたの隣に。
理解したい。
見守りたい。
でも、やっぱ寂しいんだ。
不安と孤独でいっぱいなんだ。
一緒にもっといたいんだよ。
穂乃香さんの方が大事なの?