甘く抱いて、そしてキスして…【完】
私の目の前に【樋口学院】という大きな看板が目に入った。

なんだ、塾勤務だったんだ。それで、あの汚れたスーツ、大丈夫なのかなぁ?


「おい、クルミ」


「あ、はい」
私はまた呼ばれたので、塾の入り口から、堂々と中へ入って行った。



「細かいことはあとで、まず、19時30分からの中2の英語頼むわ」



「は、はい?」


「個別授業だから、出来るだろ?任せた」


「あ、あの…」


「カフェよりは時給はるかにいいぞ」



私は困惑した…
えぇー私に出来るか?何考えてんの、この人……



「あの、あなたの名前なんですか?あと、クルミって誰ですか?」



「あ、俺は、樋口翔太郎、塾長だよ、クルミは2階にいる。君の名前は?」


「あ、田辺美園です。クルミさん、会えます?」


「ああ、頑張ってくれたらな」


「やりますよ、やります!まぁ、英語なら好きなんでなんとか…」



「お、そうそう、いいねぇ」


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