甘く抱いて、そしてキスして…【完】
「あ、美園、【たんぽぽ】は、買収してから、だいぶ持ち直した。なんとかやっていけそうだ」
翔太郎は、ホッとしたように、私に報告した。

「そかそかーさすが翔太郎だね。良かった。ちょっと心配だったから」

まさに尊敬に値する人物の翔太郎。
穂乃香さんを救った本当に優しい翔太郎。

なんだかんだ言っても、そんな偉大で思いやりがある翔太郎は、私の心を魅了する。

『有言実行』
もはや、翔太郎のためにあるような言葉。



「風呂入るわー」
翔太郎が、ネクタイを緩めながら言った。

「うん、背中流して上げようか?」
私は、余裕の出来た表情を見せた。

「何?一緒に風呂入りたいの?」
ニヤニヤしながら、聞いてきた。

「いやぁーち、違うよ」
私は、途端に恥ずかしくなり、顔を背けた。

「背中流すだけ。いいならいい」
フン……私は、翔太郎を見ない。


「あははは、じゃあ頼むよ」


「うん」
私はすぐさま機嫌を直した。

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