逃避行は無気力に
「おーい、成瀬~。成瀬一希。早く出ろ~」


「あ、一希次じゃん。」

「いってくるわ~」


いつの間にか順番が来たようだ。

空っぽの鞄をふらふらと宮下の前にぶら下げる。


「お前なぁ…」

宮下はため息をつき、

白衣のポケットから出した右手で鞄を取る。


「まーた空か。学校に何しに来てんだ~。」

「いやぁ~先生の授業分かりやすいから何もいらないんすよー」


さすがですねと、ヘラヘラっと笑って見せる。


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