とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。



――

 来年、もし秘書課に戻ったとしても妊娠したら産休に入る。私の穴を誰かが埋めなきゃいけなくなる。
 そもそもまだ妊娠してないのに、なにを考えてるのかと言われるが、やはり今、秘書課に戻るのは良くないわけで。

 かといってある程度、事務職も新卒の社員が育ったら私がいない方が自由にできると思う。
 まだ先の話だと思っていたから、小春の発言に頭を殴られた。
 他人事ではない。ほかの人にも迷惑をかけてしまう私自身の問題だと。

「で、色々考えてたら熱が出たの?」

 仕事で何時間も書類と向き合っていたら微熱が出た、ということにしてみた。

 家に帰ってからもちょっと怠くて、テーブルに突っ伏していたら、少しだけ熱が高かっただけなのだけど、帰宅した喬一さんの手際が流石だった。

「すいません。仕事でも家でも患者の相手させて」
「……紗矢は患者じゃないだろ。俺が服を脱がそうか?」

 ベットまで運ばれ、急いで逃げるようにパジャマに着替えた。

「でも何時間もパソコンで仕事したならしっかり休憩しろよ。今日は簡単におかゆにしようかな」
「……ちょっと嬉しそうですね」
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