とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
お父さんはそのまま上機嫌でフロントに電話させて、イタリア料理のコースを勝手に頼んで兄のワインセラーから高級なワインを選んで、尚且つ家にいる母までこっちに呼び寄せた。
「いやあな、うちの娘が最近、悪い男に引っかかってるらしく詳しく一矢に問いただす予定だったんだが、手間が省けたよ」
「ぶっ。なんで悪い男なの!? 誰のせいで男に縁がなかったと思ってるの!」
「最近、給料日前に兄の家にご飯を食べにくる妹が、男のためにお金を使っていると聞いていたから、だ」
ひいい。課金額は兄に怒られたからちゃんと毎月決めていた。
でも趣味に自分が働いたお金を使って何が悪い。ちゃんと貯金はしてる。
ちょっとだけ毎月決めている課金額をオーバーしても、うちは祖母が野菜を送ってくれるから野菜でしのげると思っていたのに。
兄を睨みつけると、楽しそうに笑っている。
妹には激甘だけど、見た目は近寄りがたくって、『なんでこんなこともできないの』って蔑んだ眼をしてきそうなクールぶっている兄だが、中身はお笑い好きのお調子者だ。
あの目元の泣き袋がセクシーって言われてるくせに、黙っていたら王子さまって言われてるのに、可愛いはずの妹を親に売るとは。
「大丈夫です。その件は私と結婚したら解決しますので」