とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
声のトーンが少し険しくなった。表情には出ないけど、少し不機嫌になったように思える。
「違います。左京さんみたいな分かってくれる人は大切にしてほしいだけです」
冷たいとか愛想がないとか小春に言われてピンと来なかったけど少しだけ理解できる。
やはり本家の跡取り問題はきっと、喬一さんの心に傷を作ってるんだと思う。
それは私には理解できない傷で、表面から見えなくなっても痛みはきっと忘れられない。だから誰が敵か味方かわからない中、自分から心を開きたくないという気持ちも。
「喬一さんは、きっと毎日ささやかでもいいけど平穏が欲しい人なんだなって思いました。クリスマスツリーの毎日一個ずつのプレゼントみたいに、毎日何かしら幸せでありたいと。だったら父親になってくださる以上、従兄弟さんたちは大切にしてあげてください」
一時の幸せの絶頂じゃなく、日々跡取り問題で心休まれなかった日々の反動で毎日、穏やかだけど平穏な日々が欲しいのだとしたら。
私が喬一さんの周りの、喬一さんを分かってくれる人たちに気づいて、そして彼を支えられる人になりたいと思った。
全部拒絶して私と身内だけ、嫌なことがあっても料理してストレス発散して、何もかも見ない小さな世界には、ずっといてほしくない。
「確かに、そうかもしれない。ピリピリしていたな。今日は大人げなかった」
「そうやって客観的に自分を顧みて反省できる、大人な喬一さんは尊敬してるし大好きですよ」