とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
パパって呼び方が似合うかもしれませんというと、ゆるっと空気が軽くなる。
「もう少し、相手が逆恨みしないような交わし方を身に付ける努力はする。が、紗矢が姉さんをかばって尻もち着いたのには冷や冷やして頭に血が上ったんだ。頼むから、大根持って暴れまわったりはこれが最後にしてくれ」
「それは……反省します。ごめんなさい」
痛かったですか、大根。
部屋の隅の椅子の上に置かれた大根に言う。
そう尋ねると、お腹を抱えて笑い出したので私も笑った。
確かに喬一さんの親戚は、一癖二癖ある人たちが多いのかもしれない。
でもそれは父の周りだってそうだ。会社にだってややこしい派閥だの全くないわけじゃない。だから私だって喬一さんの面倒だと嘆く親戚とは上手に距離を取れるように努力する。
でも先ほどの左京さんみたいに、喬一さんに遠慮して距離を取ろうとしている姿はちょっとだけ胸が痛んだ。昔仲が良かったのなら、親のせいで距離を取るのは寂しい。
喬一さんの不器用な防御壁で、喬一さん自身が傷つかないように、夫婦なんだから上手く見守っていけたらいいなと思う。
完璧だと思っていた彼の、傷。それは少しだけ寂しいけど、完璧人間じゃなくてホッとした気がする。
そして全く何も映っていないエコー写真とお腹を交互に見る。