とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。


『我慢はしてないのですが、親に言われたとおりにするだけでは、後悔するんじゃないかなって、進学するならちゃんと理由を見つけたくて』

 パンフレットを眺めながら唸る彼女は、俺の考えていた我慢をしている女の子ではなかった。

 父や兄の行動が愛情ゆえであること、それでもしっかり自分で意見を言っていたこと。
 彼女は家族の愛をちゃんと気づいて、吸収できている。

 俺とは違っていた。

『でも……相談に乗ってもらえますか? 父は仕事はできるんですが、頭の回転が速すぎて周りがついていけない時があるって部下の方が愚痴をこぼしていた時があって』
『高校生の君に、そんなことを言う大人がいるの?』

 一矢やおじさんの心配は杞憂で、ただ仕事の愚痴を漏らすために近づいてきたのか。

『あ、いえ。なぜか私に話しかけてくれる方だったから何か会社で悩みがあるのかなって』
『……一矢たちが心配する理由が少しわかってきたよ』
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