とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

 ワインをくるくるしていた私を覗き込んできた喬一さんに、私はどんな顔をしていいのか分からず固まる。
 文句なんてないし、素敵な人だし、手掴みできゅうりを食べても引かない人だし、憧れに近い人だけど、でもこんな結婚しましょ、いいですよーって簡単に決まっていいのかな。

 私が最近やり込んでいるゲームよりも簡単に進んでいるように思う。
 現実は小説より奇なりと言ったものだけど、私は今すぐ両頬を抓りたい。
 それかセーブポイントがあるなら、保険でセーブさせてほしい。
 私のぐるぐるした思考回路を覗き込むように、彼の瞳の中に哀れな私が浮かんでいる。

「早く捕まえたくて焦ったけど、まずは一年ぐらいお付き合いしてみる?」
「えーっと」
「じゃあ、半年!」
 なんで短くなってるの。
 困っていたら、お兄ちゃんが不思議そうに喬一さんに言ってはいけない質問をする。

「でも久しぶりに会ったのに、早急ですよね。うちの妹のどこが良かったの?」
「お兄ちゃん!」
「え。君の勉強を見ている時から、この子、綺麗になるなあとは思ってたよ。でもそうだね、生ハムきゅうりかな」
クスッと笑って私に意味ありげな視線を向ける。
終わった。今、この場で、暴露するんだ。脅す気だ。
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