とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。


 今日は昼ごはんの後、15時から五か月検診だ。

 安定期に入るので、ご両親にそろそろ妊娠を伝える――はずが。
 先日の騒動ですっかり両家にはバレている。あとは紗矢のおじさんが名前付けの立候補をしてきたので、阻止すべく二人で考え出しているところだ。

 あの後、ひとしきり喜んで、産休の手続きや仕事の引継ぎのことで話し合った。

 収入面は問題ないし両家が惜しみなくサポートしてくれるので一度退職して長めに休んでもいいしこのまま家に入ってくれてもいいけれど、仕事が嫌いなわけではないので悩んでいるらしい。

「子供の顔を見てから決める。離れたくないって思ったら、素直に辞める」と、あと一押しらしい。
 だが家でじっとしているのは性に合わないと言っていたから、子どもが大きくなればまた復帰してもいいと思う。

 そこは無理をしないようにサポートしつつ、彼女の意思を尊重しようと思う。

「でも、うーん。うちは、デザートがないしい」
 パスタが茹で上がるのを待つ間、使っていない調理器具を洗っていたのだろう。

 ふと手を止めて、蛇口から流れる水を見ている。

「普通は何回? いや、問題は回数ではなく、減少?」
「なにを悩んでるの?」
「ひ。起きてる!」
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