とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

 ボウルを落としそうになって、手の中で2、3回回転した。
 危なっかしい手つきで全部拭いていくので、立ち上がって手伝いにいく。

「タオルケットありがとう。いつ寝たんだろう」

「ソファに寝転んだ瞬間、寝息が聞こえてましたよ。昨日、深夜に緊急オペあったから疲れてるんですよ」
「すまない。気が利く奥さんで幸せだよ」

 額に軽くキスして、眠気覚ましに珈琲でも飲もうと、マグカップを取る。

 すると紗矢がまた「14回っ」と呟く。

「……キスの回数数えてたの?」
「なんでわかったの!」

 驚いて飛び上がったけど、今のは誰でもわかると思う。

「なんで回数数えてるの」

「……平均回数が、人より多いのではと、気づいたので」
「そう?」

 隣に紗矢がいたら、すぐにキスしてしまう気がする。が、深い口づけではなく、ちゅっと音を立てる軽いキスだけだ。

「わざわざ思い出して数えてたのか。可愛いな」
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