とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
紅茶を飲んだコップを下げようとして、さり気なく奪われる。
私には、あっちだとソファの横に並ぶベビーチェアーの方へ誘導された。
「新婚で、乳児がいる家に長居するほど常識がないやつじゃないんだ」
「それでも、せっかく来てくれたのに……」
お正月の一件で左京さんが謝罪したいと連絡があった。
以前、麗一さんに酔った父が迷惑をかけたことがあったので、左京さんの気持ちはよくわかった。なので、謝罪したいと言われたけど、お姉さんにだけで大丈夫ですと断って、それから喬一さんは少しずつ接触していたようだ。
左京さんは、分家筋というよりは家督も継がず、海外を飛び回る商社マンで、自分から柵である家を出たと言っていた。
喬一さん以外にも、分家だ、本家だとルールを押し付けるやり方に不満がある人たちは多いようだ。
今は左京さんがうまく不満があるご年配たちと、不満を持ってる喬一さんたちの間をもっているらしい。
喬一さんは親戚付き合いは面倒だと愚痴をこぼしているけど、私を巻き込むぐらいならばとせっせと連絡を返している。
最近は、色んな親戚の人を紹介してもらっているが、皆、家督とか本家のなにかに媚びへつらう人たちではない。普通に小さな頃から遊んでいる従兄弟として、接してくれている感じだ。
その分、ご年配たちの態度の方が難色があるのがわかる。
彼らも対応に疲れるとこぼしている。
でも左京さんは、そんな皆とご年配たち両方から好感を持たれて頼りにされているようだ。
「優しい人でしたね」
「ああ」