とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。


 最中は好き。和菓子も大好き。
 もちろん、喬一さんの料理も全部文句なしで好き。


 肉じゃが、生姜焼き、筑前煮、ほうれん草のお浸し、もつ煮、スペアリブ、ビーフストロガノフ、クリームパスタ、たけのこご飯。

 素朴で、出汁で味がついた和食が喬一さんは得意で、私もそれが好きだった。
 でも今は、今は違う。


 タルトタタン、ミルフィーユ、ティラミス、エクレア、クイニーアマン、アルカザール、シュークリーム、チーズケーキ、ソフトクリーム、プリン、チョコレート、ドーナツ、駅前のカフェで食べられるガトーショコラ、会社の近くで偶に売りに来る石焼き芋。ああ、甘いデザートが食べたい。


「甘いお菓子が沢山食べたい。バターが沢山入ったクッキーが食べたい」

「それは、俺不足だから甘いものが欲しいってことでいい?」
「うー。違うけど、違うくない。でも食べたい」

「我慢の方が体に悪いよ、ほら」
「ありがとうございます」

 お茶を受け取って、包みから薄桃色の花形の最中を取り出して口に放り込む。

 餡子が甘すぎず、上品で美味しい。
 美味しいのに物足りなさを感じて、悲しくてお茶を飲む。
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