とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
初めての入院で怖かったし不安もあったけど、それを吹っ飛ばすほど喬一さんが喜んでくれていたから、なんとか乗り越えられた。
面会時間になると一番に会いに来てくれるし、疲れていても一目だけでも仕事終わりに来る。その優しさが私には一番の安定薬だ。
彼は少し不器用な部分があるらしいけど、それ以外は本当によくできた人で。
医師で知識もあるから妊娠中の症状に理解もあるし、嫌な顔な顔ひとつせずなんでもサポートしてくれた。
入院中に二階の空き部屋二つを、壁を壊して子供部屋に改装すると言われ、写メを見せられた。が、二階の子供部屋の壁に、天井に届きそうなほど玩具が積んであったのを見て、これは早く家に戻らねばとも思った。
男女の双子と分かってからは、色違いのお揃いの服や双子用にベビーカーやら色々買い出しも進んでしてくれたし、買いすぎってぐらい出産準備の買い出しもしてくれた。
帝王切開の日まで、病室でトイレ以外動くのは控えるように言われた私に、おすすめの本や子供の靴下をお互い編むかと提案された。
でも出来上がった靴下は、どうみても誰が見ても、ぼろ雑巾と高級ブランド靴下ぐらい差があった。
料理が上手なだけあって、彼の方がとても得意で私は毛糸の色を選ぶ係に転職したのだった。
帝王切開の日は、そんな几帳面な彼が、用意したデジカメを横にして放り投げるぐらい、おろおろしていたのは忘れられない。
胸から下まで麻酔で感覚はなくなるけど、意識はあるので胸の下からカーテンで区切られ、その向こう側で医師や看護師さんが動いている恐怖。
それを一緒に乗り越えて、手を握ってくれた喬一さんに、本当に好きになってよかったなって思えたんだ。
この人に選んでもらって、この人を選んで、好きになって、愛されて、そして赤ちゃんを授かってよかったなって本当に心から思えた。
日毎、喬一さんを好きになる、そんな幸せな自分が、満たされていてすごく素敵な時間をもらっているなと感じる。
37週目で帝王切開で、2500グラムと2600グラムの可愛い男女の赤ちゃんを産んで、もう二か月が経った。