とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

 最後の砦はなんだ。……というか守るものはなにもない。
 ゲーム趣味も理解してくれてるし、お行儀の悪い姿も笑い飛ばしてくれたし。
 もちろん、二度とはしない、けども。

 どうしよう。隣で酔っぱらって笑い上戸になっている喬一さん、どう考えても理想の旦那様なんだけど。

 いや、でも私じゃ不釣り合いじゃないかな。すぐに、嫌気がさしそう。
 
 だって喬一さんは、ゲームの中のキャラクターが抜け出してきたような、才色兼備、容姿端麗、おまけに父を納得させるような職業、名家出身。

 私なんて全然ふさわしくないんじゃないの。

「俺は、いつか紗矢と結婚出来たらいいなとずっと計画していたんだよ」
「……っ」

 酔った戯言だ。父を喜ばす言葉なだけだ。
 なのに恋愛経験もない私の胸は簡単にときめいてしまうのだった。
 その後、たまたま母と食事をしていた喬一さんのお母様もやってきて、急遽簡単な顔合わせみたいになってしまって、本当にもう今日は盆と正月とクリスマスとハロウィンとバレンタインと、一年の行事が一度にやってきたような、怒涛の一日だった。


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