とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。





「はー、飲みすぎた」
 タクシーの中で笑っている喬一さんの足を私は軽くたたく。
「あいた、これは尻に敷かれるな」
 兄の家にいたら爆睡してしまった父と兄がいるので根掘り葉掘り聞かれそうで、帰ることにした。すると、一緒に乗り込んだ喬一さんは、全く酔った顔ではないので、腹が立った。

この人、お父さんが酔っていたから一緒に酔ったふりをしていただけだ。

「喬一さんって結構、強かですね」
「どうしてそう思うの?」

「腹黒いですよね? 私との結婚は何か打算があるんじゃないですか?」

 睨みつけると、笑っていた顔から真面目な顔になり、眉間に皺を寄せて考えだしてしまった。
 あの皺、深いな。触ってみようかな。

 鼻もやっぱり高い。うん。彫刻みたいに綺麗な顔。
 触れてみたいなって思ったのは、きっとワインをグラス三杯飲んだからだ。
 呑気に眺めていたら、彼の整った唇が動く。

「すいません。ここで降ります」
「ええ?」
「お釣りはいりません、ありがとうございました」
「えええ、あの、ありがとうございました」
 手を掴まれたので、一緒に降りた。
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