とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
「信用してないね。だったら先に逃げられない位置で、こうやって手を掴んで離さないことにしよう」
「もう手を繋いでますってば」
「うん。手を放さず、耳がとろけるぐらい甘い言葉を囁こうかな」
「ひい。太っちゃう」
と言いつつ、嫌な気持ちに全くならないから不思議。
それよりもちょっと期待して耳がぞくぞくしてしまう。
ああ。好き。好きすぎる。
「まあいじめ過ぎても駄目だから話をかえるけど、仕事は大丈夫? 新しい事業部作って忙しそうだったけど」
「忙しいです。体制が整うまで、兄の秘書から新事業部の事務の方へ回ってます。新卒の子たちに早く体制を整えて効率のいい仕事の仕方を伝えればいいんですが、私もいっぱいいっぱいで」
「……無理しないように。ちゃんと本音を言いあえる同僚はいる?」
「はい。大丈夫です。開業した喬一さんよりは、場所が整っている分楽なはずです」
私のことを心配してくれるなんて、そこは良い人なんだよね。
さっきだって、私が帰ってきたのに気付かないほど眠っていたから、とても疲れているはず。
なのに、顔に出さないで、うちの親と食事までしちゃって。