とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

ぐるぐると思考回路を迷いながら、初めて兄の家庭教師としてやってきた彼を思い出した。
ネクタイのないラフなジャケット姿。大学生だと言っていたけど、有名難関大学の医学生と聞いて驚いた。

 親同士が仲が良かったのに交流がなかったのは不思議だったけど、受験勉強で忙しかったと聞いた。柔らかく笑う人で、目を細めてくしゃって顔全体で笑うのも素敵だった。

 兄に教科書のページを指でなぞって教えている時、その指がすらりと伸びていて、綺麗でドキドキしてしまったのを覚えている。

 低い声。笑うとちょっと掠れて色っぽかった。
 兄の勉強のために来てもらっているのだから、私は遠慮しないといけないのにわざと見える位置でべんきょうしたりして眺めてしまっていた。

 そう。ながめるだけ。
だからゲームのキャラクターに気持ちを重ねてしまったのかもしれない。

「試して、みたい」

 でも見てるだけじゃない。
 今は、触れている。指先が熱くて、やはり長い指先はセクシーで。

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