とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。


 画面越しのゲームのキャラクターじゃない。
 砂糖菓子みたいに甘い言葉を吐く彼は、間違いなく彼なんだ。

 フッと笑われて近づいてきた彼は、その薄い唇を額に押し付けた。
 もちろん眼鏡は当たらない。

「唇にしていいなら、するけど。でもその時はもう、離せなくなるけどいい?」
 とっくに手を掴んで離してくれていないくせに。

 とっくに心は掴んでいるくせに。

 私が頷くと、歩道橋の柱の陰に引き寄せられる。

 満月が落ちてきそうな夜だった。降りてきたのは、柔らかくて熱い熱。
 私の熱と交わって、カラカラと枯れた落ち葉が地面を擦って飛んでいる寒い日なのに、温かく感じた。

 彼は頭が良くて計算高くて打算的なくせに、優しくて蕩けるように甘い。

 私はすでに逃げる気は奪われた。逃げる気は最初からなかったのかもしれない。
 浸透してくる体温、触れる唇、熱い吐息。
 時間が止まったように、私はそれらすべてを抱きしめ返した。


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