とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。





「えーっ 古舘外科ってあの駅前の!? カフェみたいなお洒落なロビーの! エントランスの噴水にお花が浮かんでるとこ!?」

「まあうちがデザインから携わったから、知ってるけども」

 とんとん拍子で進んでしまい、結納の日にちが決まった時点で、私も覚悟を決めた。
 正確には、口に出さないと現実味が湧かないので、友人でもあり仕事でこの先迷惑をかけてしまうかもしれないので伝えたまでだ。

 なのに小春は、可愛い顔が台無しなほど大きな口を開けて驚いている。

 顎が外れないか、見てるこっちがひやひやするレベルだ。

「古舘外科の、ストイックでクールな院長さん、合コンに全く来ないし女がいるのかと思っていたのに。そうか、お見合いか」
「……うん。親と食事するのかと思ったら、あの夜、顔合わせだったの」

 いきなり結婚というと説明が面倒なので、二人でお見合いだと話を合わせることにしていた。

「くっそ。良い男は良い女を選ぶよなあ。紗矢なら身持ちが堅い、良家のお嬢様だし。参考までに決め手になったエピソードは」
「たまたまよ。偶々、タイミングというか、何もない冷蔵庫の中身で一品作ったのを見て、驚かれたせいだし」
 嘘は言っていない。嘘は言っていないけど口止めもしていなかった。
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