とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

キッチンのカウンターに、バーみたいな椅子が並んでいるので、そこで座って彼の料理を見る。

 仕込んでいたのは、トマトとズッキーニのカルパッチョ。
 出来上がったのは、サーモンと春菊ときのこのたらこクリームパスタ。
 そして桜エビのチーズステッキをお洒落なワイングラスに入れて真ん中に置いた。
「すごい。こんな短時間でご飯ができた」
「まあ。一人暮らしが長かったからな。そっち座って」

 テーブルの上に並べられた食事と、テーブルの向こうから私を見る彼の目が怖い。
 感想を求めてうずうずしていると期待している目だ。

「食べていいでしょうか」
「もちろん。口に合うかな」
 どこか誇らしげな言い方が、ちょっと可愛いと思ってしまった。
 まずはパスタを一口、フォークに巻いて食べてみた。
「え……!」
 料理リポーター並みの語彙力が欲しい。しっかり塩味がついたサーモンと春菊、そしてエリンギの香りが絶妙で、美味しい。
「これは! 土下座してお嫁さんになってほしいぐらい美味しいですっ」
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