とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
彼から見て、きっと私は茹でタコになていたはずだ。
なのに、愛し気に触ってくるので、息を吸うのも忘れて彼の表情に見とれてしまう。
「なので、俺の作ったお味噌汁を毎日飲んで」
「逆!」
あははと彼が笑う。楽しそう。
いつも優し気で頼れる兄のような、憧れていた彼が、子どもっぽく笑っている。
「だってその通りだろ?」
「う……」
「因みに甘いものはあまり得意じゃないから、デザートは作るのが苦手」
「……はい?」
なぜデザートの話?
出してくれたご飯だけでお腹いっぱいになるので、デザートはいらない。
デザートももらうなんて贅沢な話だ。
「だからデザートは、紗矢をもらおうかなって」
「ぎ、ぎゃあああっ」
「なんだ、ぎゃあって」
甘い。デザートなんていらない。甘すぎる。
思わず耳を塞ぎたくなるような甘い言葉に、全身が心臓のように高鳴っているのが分かる。
「喬一さんの言葉を毎日聞いていたら、子豚になってしまいそう」