とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
定時で一生懸命走ってきた私より早い?
取引先から直帰したのかな、と兄のスケジュールを思い出しながら隣に靴を脱ぐ。
リビングに入ると、ソファから寝息が聞こえている。
ここからは背になっているので見えないが、だらんと伸びた手も見えた。
「お兄ちゃん、寝るならベットで寝なさいよー。そんな場所で寝ても、疲れが取れないでしょ」
テーブルの上にカバンを置いて、椅子を引くとそこに上着をかけた。
そして携帯を取り出して、冷蔵庫の方へ向かう。物色すると、きゅうりと生ハムがあった。
きゅうりの両端を切り、生ハムを巻いてそのまま切らずに手で握って一口食べる。
行儀が悪い行動だが、寝ている兄しかいない。誰も見ていないからできることだ。
うん。美味しい。冷やしていた酎ハイに合うに違いない。
冷蔵庫からチェリーの酎ハイを出していたら、ソファから『んんっ』と兄の声がした。
「お兄ちゃん、場所変わってよ。18時から私の大好きなゲームのイベントが始まってるの。クリスマスカウントイベントでね、私の推しキャラの東大寺くんと東京デートするイベントでさ」