とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
全部。
その囁くような声の甘みに体がじわっと痺れていく。
喬一さんは手に口づけすると、恭しい私の目を見る。
「一枚一枚、その服を優しく脱がして、色んな表情の君をもらうよ」
「……ふ、夫婦になるんだし、受けて立ちますっ」
「最後の一枚を脱がしたとき、君の桃色に染まった肌を今度は俺が覆い隠す。最高だ」
「え、あの、きゃっ」
言い終わらないうちに抱きかかえられ、東屋を後にする。
高いビルの上、星に届きそうなホテルの屋上で、まるで虫の声が聞こえてきそうな庭園を彼に抱えられて私は移動する。
まだ両家の親たちの騒ぐ声が聞こえてくるのに、彼は私を抱きかかえたままホテルを降りていく。
「どこに行くんですか」
「隣のデザイナーズホテル『オーベルジュ』。ここのクラシックホテルの社長の息子が若い子向けに建てた大人の隠れ家ホテル」
「ええ、でもあそこ、人気でなかなか泊まれないんですよ」
このクラシックホテルは和風な挙式、隣のデザイナーズホテルは、洋風な挙式ができる。が、向こうは挙式の予約が二年先までいっぱいなので、私たちはこっちの庭園にしたのに。