とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

 温めてご飯を食べる。彼が用意してくれた食事は、並べただけでも美しい。

「……美味しい」
 鰆の西京焼きのおいしさにほろりと涙が出そう。
 髪もボサボサ、ノーメイク、パジャマ姿。
 そんなだらしない姿で、朝から美味しいご飯を食べると、嬉しいけど申し訳なくて複雑な気持ちだ。

 明日は土曜だし、今日こそは私が寝ないでずっと起きて彼を待っていよう。
 お皿を洗いにキッチンへ向かうと、お弁当まで用意されていて、もう申し訳なさ過ぎて消えてしまいそうになった。




「あんたの弁当、めっちゃ美味しそうね」

 お昼にランチに誘われ、断ると食堂へ誘導されてしまった。
 小春は、肉食系女子の言葉ぴったりなカツ丼。
 私は彼が作ってくれたロコモコ丼だ。玉子だって半熟で、丸い保温タイプのお弁当箱だからまだ温かくご飯も柔らかい。

これは、彼が作ったとは言わないでほしいと言われている。
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