とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。


 ここまで生活リズムが合わないとは思わなかった。
 全く片付かなかった段ボールの山に納得してしまう。

「そりゃああんな若いのに開業医なんてしてるんだから、忙しいでしょ。でも新婚の蜜月はもっと一緒に居たいよねえ」

 うんうん、とカツ丼を食べている小春の逞しさを見習いたい。
 あんなにハムスターみたいにカツ丼を頬張っている彼女は合コンでは『お酒弱くて……』とお洒落な酎ハイを飲む。私と二人の時は、生ジョッキのくせに。

「私からアドバイスするとしたら」
「うんうん」
「もっと甘えたらいいと思う」
「えー! それは無理だって。あんな忙しい人に甘えたら、余計疲れるでしょ」

 睡眠不足にさせて体を壊したら申し訳ないし、邪魔したらいけない。

「全然。あんたは甘えるのが下手というか、男性に距離を置きすぎだったから遠慮しいとおもうのよね。甘えて、寂しいって言えば、絶対にもっとあんたとの時間を作ってもらえると思うよ」
 う。
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