とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

 小春が言っていたように、私は小さな頃から子供らしくない出来上がった顔をしていたらしい。

 悪く言えば老け顔、よく言えば美人。二重の大きな瞳に、ぷっくりした色気のある唇、高い鼻。

 ニキビなんてできたことのない真っ白な肌に、どんなに食べても太らない体型。

 同年代の男の子たちには近寄りがたいらしいし、年上の男性たちからは、あの医療コンシェルジュのご令嬢だと下心をもって近づいて来られ、父や兄が散々煙に巻いた結果、誰一人男性と親しくなれないまま大学を卒業し、兄のサポートのために就職。
 今でも近づいてくる男性には、警戒してしまって食事すら誘われたことがない。
 大学時代、うちの会社に内定をもらいたくて私に近づいてきた人もいたので、どうしても警戒しすぎて、男友達すらできなかった。

 元々積極的な性格でもない上に、内向的で、人が集まる場所でじろじろ見られている気がして飲み会にも自分から参加したい気持ちもなかった。


 そんな私の唯一の趣味はゲームで、特に眼鏡キャラの知的な男の子との恋愛ゲームにハマっている。

 これは小春にも話していないけど、私は兄が引くぐらいのゲームオタクなのだ。

「でね、お兄ちゃん、東大寺くんとデートするのにチケットが必要でさ、西園寺くんともゲームしたいから、ちょっとだけ課金してもいい?」

 片手に生ハムきゅうり、もう一方の手には酎ハイ。脇には携帯を挟んでいる。

 両手が塞がっていたので、足で冷蔵庫を締めた瞬間だった。
 ソファの方から、重そうな本が床に落ちる音がした。
 何冊も、何冊も。

「紗矢……」
「なに、おに……ひいいいいっ」
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