とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。


 確かに、彼は私に甘い。私が甘えたら喜んでくれるとは思う。
 でも無理をさせるという結果には変わらない。

「まあ、古舘さんみたいにクールでちょっと近づきがたい人に甘えるのは難しいよね」
「んん? クール?」
「クールって言うかちょっと冷たいイメージ。患者さんに説明するときも義務的っていうか無機質っていうか無表情? 仕事中は全然笑わないで、ピリピリしてるって友達が言ってたわ」
「うそ、それ誰?」

 私の知ってる彼は、兄の勉強を教えている時も、私に話しかけてくれる時も柔らかい笑顔を浮かべてくれる人だ。
 クールって言うより、目じりから優しさがにじみ出ているというか。

「うわ。あんたの前だけデレデレってこと? ストイックで神経質そうだけど、お嫁さんには溺愛ってか。うらやましい」

 本気でうらやましいと、小春の顔が険しくなる。
えー。そんな、確かにストイックだけど、喬一さんは冷たくないというか、甘すぎると思うけどな。
 上手く言えない分、頬が熱くなってしまったので、お茶を飲む。

「ふーん。まああんたには優しいってことは安心よね。思う存分甘やかされてこい」
「参考にならないけど、一応、落ち着いてきたら言ってみる。ありがとう」

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