とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
「喬一さん」
二階へ上がるとき、リビングからいい匂いがしてきた。
この匂いは肉じゃがだ。昨日、おばあちゃんが送ってきた土のついた野菜に感激していたから何を作ってくれるのかなってちょっと楽しみだったんだ。
「ああ、おかえり。インターホンを押したら迎えに行ったのに」
「ただいまです。いえ。灯りが寝室だけだったから」
彼がベットサイドのテーブルに眼鏡を置くと、目じりを押さえた。
テーブルには数冊の本。
でも服は、いつも寝るときのラフな格好だ。
「眠ってたんですか?」
「誰かさんが俺の睡眠不足を心配してたんでね。ソファではなくちゃんと布団で寝たよ」
彼が布団をめくって、自分の隣をポンポンと叩く。
その仕草に胸が高鳴りつつも、帰って来たばかりの私は大きく首を振る。
「久しぶりに一緒に寝れそうだな、紗矢」
「ひいい」
幸せすぎる。急いでドアを開けて寝室から出てしまった。
お風呂に入ったのか、ふわんと漂ってくる喬一さんの匂いも心臓が止まりそうなほど甘くて、驚いた。
一日中、彼の忙しさに悩んでいたのに、あんなふうに言われたら抱き着いてしまいそうで危なかった。