とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。


「紗矢―」
「あの……その」
 不思議そうな顔をして彼が出てきたので、私はバックで彼の甘い言葉や雰囲気をガードしつつ、尋ねた。
「今日は、沢山一緒に居られるでしょうか」
「まあ、そうだな。緊急オペや救急車が四台一斉に来たりはしなければ」

 つまり今は休みではなく、自宅待機日なんだ。
 でも、言わなければ。
 お弁当のこと?
 一緒に居たいこと?
 仕事が忙しいのに料理を無理してないかなってこと?

 聞きたいこと、言いたいことが沢山あるのに、彼の優しい笑顔を見たら上手く言えなくて慌ててしまう。

「その……私たち、新婚じゃないですか」
「そうだな」
「でも、喬一さん、ソファで寝るぐらい忙しいじゃないですか」
「学会前だったから。でも準備は終わったよ」
 近づいてくる彼が、ガードしていたカバンを強引に奪うと私の顔を見て、ククッと笑う。
「そんな顔しないで。我慢できなくなるだろ」
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