とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
「あの、私がキッチンを使うのは問題ないですか?」
なし崩しに脱がされる前に、なんとか話を終わらせたい。
きっと体の奥を触られたら、私はズブズブで思考回路が停止してしまうのだから。
「もちろん。この家は二人のものだから、キッチンも好きに使っていいよ。危ない包丁は、鍵をかけた引き出しに入れてるし」
「その……」
私が作った料理は食べてくれますか?
そういうと、彼は趣味を奪うなと怒るのかな。悲しむのかな。
理解してくれると思ったのに、と悲しむのかな。
「疲れている時は、無理に料理してほしくなくて、食べたくないわけじゃなくて、どっちかというと、めちゃくちゃ食べたくて、でも」
「うん」
「でももっとイチャイチャしたいから、喬一さんが忙しいときは私もご飯を作りたい、です」
私のまとまらない言葉を聞いて、脱がしていた手を止めてくれた喬一さんは、ふむ、と小さく考えるようにうねった。
「確かに、俺の料理を食べた後にご飯を作ってくれる人はいなかったな」
「凝ったものは無理だけど、栄養があるものを頑張って作るんで」
「紗矢が嫌じゃないならお願いしようかな」
でも今日はデザートから食べちゃおう。
彼が体をこすり合わせてきて、当ててきた熱に体が緊張してしまった。
それなのに。
「……」
テーブルに置かれた携帯が鳴る。この音は呼び出し用の音。
そして聞こえてくる救急車のサイレン。