とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
私も携帯を床に落としてしまった。携帯の画面には東大寺くんのドアップが映し出されている。
「おかえり。ごめん。待ってる間にちょっと寝かせてもらったんだけど」
「な、なんでいるのおお!?」
目の前にいるのは、東大寺くん――ではなく、兄が大学時代に家庭教師をしてもらっていた古舘 喬一さんだ。私のことも気にかけてくれて勉強を教えてくれたり、大学選びの相談に乗ってくれた人。
確か外科医として就職してから忙しくなって数年前に開業したときに、うちが全プロデュースしたっきりだから数年ぶりの再会だ。
ストイックな銀色のフレームの眼鏡に、軽くワックスで後ろに流れるように整えられた髪、くっきりした切れ長の瞳にスッと力強く吊り上がった眉、そして嫌みじゃない程度の爽やかな柑橘系の香水。
ああ。私がゲームキャラで眼鏡の男の人を選んでしまうのは、この人が私が今まで見た一番の美形だからかもしれない。
「その……それ」
喬一さんが私の手に持っている生ハムきゅうりを指さした。
「それが夜ご飯って言わないよね? 体に悪いよ」
「……っ」