とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
「本格的! 私、何か作りたい。サラダ?」
「生ハムきゅうり?」
「もー!」
ポカポカ叩いたところで階段を降りた彼がよろめく。
すぐに私の黒歴史を言い出すんだから、眼鏡を奪ってやった。
「サラダもいいけど、俺も何か食べてみたいなー。例えば、ケーキ」
「甘いもの、苦手じゃなかったです?」
一緒にキッチンへ行って、ご飯を温める。
今日はたけのこご飯と牛肉のしぐれ煮、人参ともやしのナムル、お花の麩を浮かべた三つ葉のお吸い物。
彼の和食は、結婚してから私の体重が増加していることからでもわかる通り、極上に美味しい。
「紗矢が作るものなら、何でも食べたいけど、ケーキは自分が作らないから特に作ってもらいたい」
「なるほど」
「でも難しいなら、買うのもいいよね。クリスマスはゆっくりしたいし」
「いいえ。作ります! いっつも美味しいご飯を作ってくれてるんだから、お礼したいです。任せてください」
胸を叩いたら少しむせたけど、喬一さんが蕩けんばかりに笑ったので、喜んでくれたようだ。