とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

「そうだ。食べ終わったら一緒に風呂に入ろう」
「え、嫌ですけど。あ、お吸い物いい匂い」

 全て温めてテーブルに並べると、見た目も美しい。
 食べるのがもったいないけど、美味しそうな匂いには負ける。

「まあ、入るけど」

 スルーしたのに、諦めの悪い喬一さんはお箸を並べながら、さらりと言う。
 こちらも騒がずに流したのに、諦めが悪い。

「嫌です。いただきます」
「嫌の嫌だね。仕事を頑張ったダーリンにご褒美が欲しいものだ」
「ご飯の後ってお腹がぽっこり出ちゃうから嫌ですー」

 たけのこご飯の香りも美味しい。パクパク食べていたら目の前の喬一さんがにっこり笑った。
「じゃあ今日の夜、ご飯の前に入ろうか」
「ひ」
「今は我慢しとくけど、夜な。決まり」
「え、ええ……っ」
「ほら、可愛いハニー。ご飯が冷めるよ」

 ご機嫌な旦那様は、それからは私が何を言っても完全にスルーしたのだった。
 この人に、本当に勝てない気がする。

 しかも食事を終えた後、寝てくださいと言うのに私がお皿を洗うのをソファに座って待っている。これって一緒に寝ようって意味だよね。

 私はさっきテーブルで転寝してたからあまり眠くないけど、彼は私を抱きしめてさっさと寝ちゃうんだろうな。ドキドキして絶対に眠れないに違いない。
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