とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
ちらっとソファの彼を見ると、恩師の著書をせっかく頂いたからと目を通している。
一か月で数冊は読んでいるようだけど、中身は難しい医学書で私は視た瞬間眠気が押し寄せてきた書籍だ。
私が代わりに読んで、どんな内容だったか伝えられたら、睡眠時間確保できるのに。
でも本を、頬杖ついて読む喬一さん絵になるな……。
「そうだ、ハニー」
「え、は、はい!」
見とれていたのがバレたのかな。焦ったけど、どうやら違ったらしい。本をしおりを挟んで閉じると、キッチンにやってきて一緒にお皿を拭きだした。
作ってくれたから片付けは私!と約束したのに。
「年末なんだけど実家には帰らず、年明けに挨拶に行こうと思うんだけどいい?」
「え……お姉さん、待ってるんじゃ」
「うちは年末年始、親戚付き合いを絶ってるから俺たちが帰ると、それを理由にゴミが湧く」
「ゴミ……」
親戚を嫌っているのは、喬一さんの言葉の端々から感じていたけど、結婚式からも遠ざけて、鉢合わせも避けたいらしい。
「ああ、ごめん。驚かせたか。ちょっと、本当に親戚は好きじゃないんだ」