とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
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それからお互いのお弁当を作ったり、彼が忙しそうなときは私がご飯を作るようになってから、ちょくちょく一緒にお風呂に入るようになり二人の時間が増えた気がする。
彼が医学書を読む隣で、私がケーキの本を読む。
喬一さんに、「これとこれ、甘さ控えめみたいですよ」というと、「ん?」って優しい声で聞き返してくれて、どっちがいいか答えてくれるのが嬉しい。
「最近、すれ違い生活じゃなくなりましたね」
「ああ、日色さんがお子さんの行事で忙しくて、色々交代したり時間を配慮してたから。今は落ち着いたよ」
「ええ、日色先生ってご結婚されてたんですか」
「ん。それで前の職場で出世コースから外されたから、うちに引き抜いた。お子さんが居たら、前の職場ではやっていけなかったから、彼女も喜んできてくれたよ」
「受付の方が、日色さんのことを古女房って言ってました」
「ぷ。女性はすぐに勘繰るよな。ベテランの彼女には助けられたけど、俺は昔から紗矢一筋だし」
また照れもせずにそんなことを言う。一向に彼の甘い言葉に慣れない。すぐに真っ赤になる頬を押さえながら、料理本をめくった。平常心。平常心だ。
「あ、これ美味しそうです」
「作ろうか?」