とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
キノコのデミグラスソースをたっぷりかけたハンバーグだったのだけど、彼はかけていた眼鏡をテーブルに置くと、腕まくりを始めた。
確かに喬一さんにはハンバーグなんて簡単なのかもしれない。
「きのこなら常備してあるし。ひき肉も冷凍してある」
「食べたいっ じゃあ私サラダでも」
一緒にキッチンに入って、私もサラダ室からブロッコリーやキュウリを出す。
するとエプロンを腰に巻きながら彼が感慨深そうに頷く。
「料理って誰にも邪魔されず、趣味に没頭できる唯一の時間だって思っていたんだけど」
私がエプロンを付けている姿を遠慮なくじろじろ見ながら、微笑む。
「紗矢と一緒なら、いいね。二人で料理ってとても楽しいよ」
「私も、嫌がられるかなって思ったんだけど優しく教えてくれるから感謝してます」
料理をするときはキッチンに入ってこないでほしい。
喬一さんは最初に確かにそう言った。なのに、簡単に私に一緒に作ることを了承してくれて、趣味の邪魔にならないかと思ったら一緒に楽しんでくれる。
私には聖人君子のような旦那様だ。
それに腰巻エプロンの破壊力ときたら、私は彼のエプロン姿で白ご飯が何杯も食べれそうだ。