とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。


死にたい。理想だって思っていた美形な知り合いに、数年ぶりに再会した今。

 私は酎ハイと生ハムきゅうりを握り、両手を塞いでいる。
 そして冷蔵庫を足で締める、お行儀が悪い行動。
 さらにさらに、ゲームのイベントについて熱く語ってしまった。

 喬一さんが帰ったら、このタワーマンションから飛び降りよう。

「あの、ご飯は兄が帰ってきてからって思って」
「そうだよね。俺も今日、一矢から話があるって呼び出されてたんだけど、ごめんね。夜勤明けでそのまま来たからさ」

「そ、そうだったんですね。眠っててください」

 そして全部夢だったと忘れてください。
 ああ。喬一さんみたいに素敵な人に、なんて行動を見せてしまったんだ。
 ゲームなら好感度下げるどころか、攻略対象から外れてしまうに違いない。


「お腹空いてるなら、何かおつまみ作ろうか?」
「いいいいえ! そんなお客様にとんでもないです! 喬一さんこそ、何か召し上がりますか? 冷蔵庫の中身が全くないけど、フロントに電話したら夜食を用意してもらえますよ」
「はは。俺に気を使わなくていいよ。紗矢は、いつも気が利くよね」
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