とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。


 クリスマス前日。会社のロビーにも大きなクリスマスツリーが飾られ、次の日は社員全員に十二センチのミニ・ブッシュドノエルが配布される。去年、上に乗っている苺が酸っぱかったと兄に言ったら、今年はホワイトチョコレートの天使が三体乗っている。

 今日は、小春が定時で帰っていった。肉食系小動物美女の彼女は、見事に恋人をクリスマスまでにゲットしたらしい。小躍りしていた。

小春は仕事もできるし可愛いしで、社内の評判も悪くないのに、社内恋愛は面倒くさいと合コンばかりしていた。

 そのせいで、小春の恋人ゲットに泣く男性社員も少なくないとか。

「良かった。まだ残ってたか。内線しようか悩んだんだが」
「お兄ち――社長」

 兄が秘書を引きつれて、事務所に顔を出す。
 最上階で、新しい部署の書類作成に追われていた兄が、下界に何の用だろう。

「ちょっとこの書類なんだが」
「はい」
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