とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
まだ部署内には数人の人が残っていたので、隅の方へ連れていかれ、書類を覗き込む。
けれど書類はさきほど会議で使われていたが、私とは全く関わりのない内容だった。
お兄ちゃんは小声で、仕事の振りをしながら違う話題を振ってくる。
「お前、正月はうちに帰んの?」
「うん。喬一さんがうちに来るのは久しぶりだなって楽しみにしてたよ」
「お前なあ。うちなんて何時でも来れるだろ。喬一さんの家を優先しとけよ」
「お兄ちゃんは、喬一さんの家の事情を知らないの?」
こそこそと小さな声で耳打ちすると、微妙な顔をした。
知っているからこそ心配しているようだった。
「お前が行かないで、親戚たちからの心象が更に悪くならないか? 喬一さんはお前に隠して自分だけで対象しようとしてるように思えるけど」
「じゃあ元旦に挨拶だけ行けるか聞いてみるね」
私も結婚して初めてのお正月は行かないのに少し戸惑いはあった。
でも彼と彼のお姉さんのことを想うと強くも言えないし。
一応確認だけしとこう。
「あともう一つ」
「まだあるの?」
「……喬一さん、クリスマスが誕生日だからな」
「え!」