とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

「なんで嫁が知らないんだよ。馬鹿か」


 ファイルで頭を軽くたたかれた。でも寝耳に水だ。

 というか、私は普段から全く彼のことを知らなさすぎる。絶対に喬一さんは、教えていないけど私の誕生日とか把握してそう。下手したら、うちの家族全員の誕生日を把握してるかも。
 でもでも。だから、私にクリスマスにケーキをお願いしたのかもしれない。

「社長、ありがとうございます。急用を思い出したので帰ります」
「ああ。さっさと行け。給料日前に俺の家に入り浸ったり、課金額を監視されないように、旦那を大切にしろ」

 追い払うようにロッカールームに進行方向を決定された。本当にうちの兄は、気遣いもできて無駄に美形で、完璧だ。兄妹なのに私はどうしてこうも、いい加減で周りに気遣いもできない馬鹿なんだ。

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