とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。



 急いで退社して、プレゼントを見て回った。
 喬一さんには定時に帰ると言っていたけど、少し遅くなる連絡をしたら、数分して携帯に着信があった。

『紗矢、今どこ?』
「えーっと、まだ会社です」

 嘘だ。私は今、ファッションビル内の各フロアの案内図の前だ。
 喬一さんへのプレゼントがさっぱりわからなくて困っていた。

 手袋、マフラー、キーケース、財布。どれも新品のように綺麗に使っているし。通勤時間もないから、防寒対策系の衣類は使わない気もする。趣味は料理だから、やっぱりキッチン系のものがいいのかな? と案内図の前で小物系のお店をチェックしていた。


『そうなんだ。俺も今、出先から帰るから一時間ぐらいで駅に着くけど、それまでに仕事が終わるなら偶には外で食事でもどうかな?』
「はい。是非」


 喬一さんの手作り料理を食べてから、外食には興味がなかったけど今日は別だ。今日は学会の総会で大阪に遠征している。年に数回とはいえ、平日にしかないので病院を日色さんに任せないといけないからと申し訳なさそうだった。

 そんな学会帰りで疲れてる喬一さんに、ご飯を作らせるわけにはいかず、何か私が作ろうと思っていたところだった。
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