とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

 彼に似合うもの。落ち着いた色。装飾が複雑で細かいものも、几帳面な彼に似合う。
 キッチングッズにしても、彼は色んなスパイスや出汁、調味料を網羅していると言っても過言ではない。カレーだって私好みの辛さで作ってくれちゃうぐらい。

 エプロンも男性に似合うような、シュッとしたものもないし。

 お箸は、喬一さんのご実家のご両親がわざわざ職人さんに作っていただいた夫婦茶碗とセットで良いものを頂いてる。

 腕時計を見ると、ぐたぐた悩んでいる間に20分も経ってしまっていた。
 時間がない。彼が喜んでくれて――使ってくれるもの。
 歩き回りながら、私は立ち止まった。クリスマスカラーに彩られ、クリスマスツリーの下におすすめの商品を並べたショーウィンドウ。

 その中に、私の目を引いたもの。それは、彼が毎日使っている古いアレの代わりになるような品物だった。

 お店の中は、レトロな街並みの写真が飾った壁に、色鮮やかな棚が並ぶ輸入雑貨屋だった。
 お店の人が直接現地に行って買っているとお店のポスターに書いて貼ってあった。
「これだ」
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