とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
「古舘せんせい」
「あー、今、終わったんですねえ」
やっとのことで人ごみをかき分け目的地へ到着したら、喬一さんは女性二人に囲まれていた。
しかも一度受付で会った、受付嬢の二人組だ。
キャメル色のコートと白の清楚なコート、そしてミニスカートにブーツ。
女の私でもわかる、可愛い服装の二人。そして二人でお酒を飲んでいたのか頬が赤く、澄ました仕事中の顔ではなく甘えた可愛い声だ。
多分どちらかが小春の友達だから、私と同い年のはずだが、全然お洒落度が違う。
ふんわりと甘い匂いがしそうな可愛い二人だ。
「奥さんとデートですかあ?」
「お疲れ様ですー。私たちも参加させてくださーい」
「わー、私ともデートして―」
一人が、喬一さんの腕に腕を絡ませようとしたが、彼はさらりと横に避けると、冷たい視線を向けていた。
「明日に残るような飲み方はやめたらどうかな?」
冷たい声に驚いてその場に固まってしまった。
小春が、喬一さんのことを合コンにも来ないし、仕事中はクールで近寄りがたいって言っていたけど、目の前の彼はその通りだった。
私の前ではしたことがないような、表情のない冷たい印象に驚いてしまう。
「さっさと帰りなさい」