とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
「まああげないけどね。見るだけ見せてやろう」
「お前なあ、そうやってすぐクールぶって」
白石さんに肘でうりうり攻撃されても、澄ました顔で紙袋に仕舞い、グラスを受け取りワインを注いでもらっている。
喬一さんは彼の前でも少しクールぶっているらしい。
「メインのラム肉はもう少しで持ってくるから、こっち食べて待ってて。グリッシーニに生ハム巻いた奴。生ハムはフルーツにも合うんだけど、メロンとかキウイとかもだけど野菜にも」
「ぶっ」
白石さんが説明を終える前に、片手で顔を覆って噴出した。
「喬一?」
「いや、ふふ。そうそう。生ハムはなんでも合うよね。うちの妻がよく料理に使うんでつい、」
「い、意地悪!」
えいっとテーブルの下で足を蹴ろうとしたらからぶってよろけてしまった。
その姿もツボに入ったらしく、大笑いだ。
白石さんは驚いた様子で、厨房に戻りつつ、喬一さんの笑う姿を見ている。
喬一さんは家ではよく笑うんだけど、人前ではこんな風に笑わないのかな。