*君に溺愛*
「無理、無理、葵が相手とか無理」

フルフル震え出したのは、俺。

「おい、そこの不器用総長。
葵マジみたいだし、同じ黒髪でも随分差があるな。
ルナちゃんは、きっと葵を選ぶな」

絶対、慧は俺には冷たい。

何故だ?

「慧、冷たい」

思わず本音が、飛び出す俺。
「雅が、葵に勝てるわけない。
あいつ、スマートに女かっさらうタイプ。
大人だし、優しいし、雅………負けたな」

ニヤリ、と笑う慧を睨む俺。


俺は、黒に染めた髪を触った。

「黒にしても、意味ないんかな。
どうしたら、いいんだ。
優しくとか、甘いマスクとか、苦手」

だいたい、優しくとか甘いマスクとか葵ならサラリ、とかわすだろう。

スマートでかっこいい。

ガチャっーーーー

なんだ?


「「……………隠れろよ」」

王雅の溜まり場化した場所に、人は、なかなか来ない。
だけど、今日はいつもと違った。

男が、一人。

そして、女が一人。

ルナ…………?


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