*君に溺愛*
不意に、ルナちゃんが雅を見た。

「あ…………っ」


なにかを言おうとするルナちゃんの瞳。

屋上を去る雅の背中を、ルナちゃんは見つめた。

言えばきっと傷つける。
慰めも、中途半端な同情もいらない。
雅はそんなの欲しくはない筈。

ただ、欲しいのはルナちゃんからの"好き"って言葉だけだ。

"ごめん"なんて、言葉はいらない。


「ねえ、ルナちゃんは絶対に雅を好きにならないの?」


抑えられないこの気持ち。
ここ数日で、ルナちゃんの瞳は随分雅を見る目が変わった。

引いていた瞳は、今はちゃんと真っ直ぐ見つめてる。

だけど、ルナちゃんは葵と付き合ってる。

葵にこだわる理由がある?
葵は確かに美男子だし、優しいし。
だけど、雅だって顔はイケメンだし。
だけど、ルナちゃんは葵と付き合ってる。

「葵にこだわる必要ある?
雅だって、ルナちゃんがすげー好きなのわかるよね?
どうして、雅じゃだめなの?」


俺、葵が嫌いな訳じゃない。
誰の味方とかじゃないけど。
だけど、これじゃ雅の気持ちはどこに行けばいい?

「慧くん………私は葵くんを裏切れない」




はあ⁉
なんだよ、それ。


「それって…………ルナちゃんって本当は…………「いいの。私は葵くんが好きなの!!
葵くんを好きでいるって決めたの!!」


ねえ、ルナちゃんは本当に葵が好き?


君は、誰を見てる?


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