*君に溺愛*
「あ、ルナちゃん、いた。
帰ろうか」

教室に入って来たのは、廉先輩。

電気のついた教室を出ていく私。
バチっーー

「きゃっ」

急に教室が暗くなり、私はよろけた。
ふわり、と抱き止められた。

「大丈夫………?まだ、下校してない人いるのに普通電気消すか?」


下校時間近くなると、自動的に電気が消えるうちの学校。

タイミングの悪さに、少し苦笑いした。
だけど、どこかでホッ、としてた。

今もなお、消えないこの泣きそうな顔を、見られたく無かったから。

「ありがとうございますっ、先輩?」

私を抱き締める先輩の腕、籠る力。

「…………ラーメン食べに行かない?」

「えっ!?」
ラーメン?

いきなり、ラーメン?

「美味しいラーメン屋あるんだ。
店員が、意地悪だけど」
美味しいラーメン屋?
店員が意地悪??

私はその理由が、分かった。

二人並んで歩く帰り道。
暗い道の中にある、赤い暖簾。

漂う美味しい匂いは、まさしくラーメン。


「どうぞ」

彼は紳士なのか、私を先にいれてくれた。


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